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共同研究

第51回日本頭痛学会総会にて発表済みの、メディカルビッグデータ「REZULT」を活用した研究成果が日本頭痛学会 喜多村賞を受賞しました

当社と勝木 将人先生(長岡技術科学大学 体育・保健センター 准教授)との間において実施中の「片頭痛と、片頭痛医薬品および薬物乱用頭痛の関連性」に関して、第51回日本頭痛学会総会にて発表した研究成果が日本頭痛学会 喜多村賞を受賞いたしました。

勝木将人先生との共同研究成果

■背景
頭痛は日本人の 4 人に 1 人が保有していると言われ、長期間にわたって医療費が伴う疾病となっております。その中でも片頭痛は日本人全体での有病率は 8.4%とされており、多くの人が悩まされています。一方で、近年では片頭痛の特効薬となる急性期治療薬や予防治療薬の開発も進んでいますが、急性期治療薬の過剰摂取による薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)の発生等において問題視されるケースもございます。

この状況に際して、当社は勝木 将人先生協力のもと、当社メディカルビッグデータを活用した、「片頭痛と、片頭痛医薬品および薬物乱用頭痛の関連性」に関する共同研究を2022年10月より実施しております。
https://www.jast.jp/cms/wp-content/uploads/2022/10/ir_notice20221018.pdf 参照)

■学会概要
名称   :第51回日本頭痛学会総会
テーマ  :革新的進歩がもたらす最新の頭痛医療を患者さんのもとへ
会期   :2023年12月1日(金)~2日(土)
会場   :パシフィコ横浜 会議センター(神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1)
プログラム:http://jhs51.umin.jp/program.html

■発表概要
演題  :「医療レセプトデータ REZULT に基づく医原性薬剤の使用過多による頭痛の現状解析」
発表日時:2023年12月2日(土)14:20~15:20 「一般演題 25 頭痛一般 2」

■研究内容
本研究では、頭痛患者に対する処方パターンについて、横断的研究と、経時的変化を観察した縦断的研究の2つを行いました。医原性薬物乱用頭痛が否定できない処方(以下過剰処方)はトリプタンと複合鎮痛薬(30錠/90日以上)、鎮痛薬単剤(45錠/90日以上)としました。 
横断的研究では、2020年のレセプトデータから、急性期治療薬の処方粒数が最大となる90日間を抽出し、過剰処方の割合を検討しました。急性期治療薬が処方されていた患者15,524患者のうち、1,992例(12.8%)に過剰処方が認められました。
縦断的研究では、2010から2022年までのレセプトデータを用いて、初診時から2年間の処方パターンを追跡しました。頭痛初診から2年間追跡できた545,021患者のうち、2年間で過剰処方を1度でも経験した患者は40,082例(10.1%)でした。

■今後の展望および受賞コメント(勝木先生より)
この度、日本頭痛学会より喜多村賞を受賞いたしました。本研究が頭痛患者に対する処方パターンに関して新たな知見を提供できたことを、大変光栄に思います。特に本研究に協力してくださった日本システム技術の皆様に心から感謝申し上げます。
これらの結果は、医原性薬物乱用頭痛のリスクが依然として高いことを示しており、急性期治療薬の適切な使用と処方および予防治療薬の積極的な使用が強く求められています。今後、患者と医療従事者が薬物乱用頭痛のリスクについて正しく認識し、適切な治療法を選択できるよう、医療AI開発や頭痛啓発活動など、幅広く行っていきたいと考えています。また、医原性薬物乱用頭痛を啓発するために、保険者や患者、医療機関向けの疾患啓発活動を推進していく予定です。この受賞を契機に、今後も患者様の生活の質を向上させるための研究に尽力し、薬物乱用頭痛に関する新たな予防策や治療法を提案していきたいと考えています。

■一般社団法人日本頭痛学会詳細は以下をご参照ください。
https://www.jhsnet.net/

■メディカルデータ「REZULT」の詳細は以下をご参照ください。
https://www.jastlab.jast.jp/rezult_data/

■共同研究者について
勝木将人(長岡技術科学大学 体育保健センター 准教授、脳神経外科専門医)
<略歴>
2016年 東北大学医学部医学科卒業
2021年 糸魚川総合病院脳神経外科 医長
2023年 諏訪赤十字病院 脳神経外科 頭痛外来
2024年 現職およびアイルランド ダブリンシティ大学博士研究員

■未来共創Labについて
当社未来共創Labは医療ビッグデータ事業として、医療現場や各種保険者様が抱える課題の解決へ向けて、メディカルビッグデータ(レセプトデータ、健康診断データ等)を利用した医療DXを推進しております。当社データの価値を高め、お客様の課題を解決するための可能性を広げるべく、今後も本研究における分析を進めてまいります。

また未来共創Labでは、SDGs(Sustainable Development Goals)目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」へ向けて、メディカルビッグデータを利活用した健康増進を目的とし、産学連携での商材開発・共同研究を実施しております。