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お知らせ

共同研究

薬物乱用頭痛のエビデンスデータの可視化と疾患予測モデルの開発に成功

当社と勝木 将人先生(糸魚川総合病院、諏訪赤十字病院 脳神経外科・頭痛外来、現 長岡技術科学大学 准教授)との間において実施中の「片頭痛と、片頭痛医薬品及び薬物乱用頭痛の関連性」に関する共同研究の成果について、第6回日本メディカルAI学会学術集会にて発表いたしました。

■背景
頭痛は日本人の4人に1人が保有していると言われ、長期間にわたって医療費が伴う疾病です。その中でも片頭痛は、日本人全体での有病率は8.4%と、多くの人が悩まされています。
一方で、近年では片頭痛の特効薬となる急性期治療薬(※1)や予防治療薬の開発も進んでいますが、急性期治療薬の過剰摂取による薬物乱用頭痛の発生等について問題視されるケースがあります。
この状況に際して、当社は勝木 将人先生協力のもと、当社のメディカルビッグデータ「REZULT」を活用した、「片頭痛と、片頭痛医薬品及び薬物乱用頭痛の関連性」に関する共同研究を2022年10月より実施しています。
https://www.jast.jp/cms/wp-content/uploads/2022/10/ir_notice20221018.pdf 参照)

■学会概要
名称   :第6回日本メディカルAI学会学術集会
テーマ  :ともに生成する医療の未来
日時   :2024年6月21日(金)~22日(土)
会場   :名古屋市公会堂(岡谷鋼機名古屋公会堂)
公式サイト:https://www.congre.co.jp/jmai2024/index.html

■発表概要

演題1(口演):医療レセプトデータに基づく成人頭痛患者における薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)の現状解析
発表日時:2024年6月21日(金)9:40~10:40
概要:本研究では成人頭痛患者の処方パターンを解析しました。解析の結果、日本における急性期治療薬過剰処方が頭痛患者全処方の16.6%を占めるという実態が明らかとなりました。また、成人の薬物乱用頭痛が将来的に発症するかどうかを、初診から3ヶ月の処方パターンから予測するモデルの試験的作成も実現しました。

演題2(ポスター):医療レセプトデータに基づく成人片頭痛患者における薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)の現状解析
概要:本研究では成人片頭痛患者の処方パターンを解析しました。解析の結果、日本におけるトリプタン過剰処方が片頭痛患者全処方の5.1%を占めるという実態が明らかとなりました。また、2021年の新薬登場及びガイドラインの刷新により、2023年には処方パターンの適正化が見受けられ、片頭痛診療のアンメットニーズ(※2)の解消に向けて社会変革が起きようとしていることが明らかとなりました。


※1:急性期治療薬
急性期治療薬とは、片頭痛発作が起こったときの痛みを速やかに抑え、仕事や生活にできる限り早く戻れるようにするための治療薬です。

※2:アンメットニーズ
アンメットニーズとは人々の欲求やニーズの中でもまだ満たされていないものを指す言葉です。医療分野では、いまだ有効な治療方法がない疾患に対する医療ニーズのことを指しており、アンメット・メディカル・ニーズともいわれます。

※3:医原性MOH
以前から一次性頭痛を持つ患者において、急性期または対症的頭痛治療薬を1ヵ月を超えて定期的に乱用(治療薬により1ヵ月に10日以上、または15日以上)した結果として、1ヵ月に15日以上起こる頭痛のことを薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛、MOH)といいます。この中でも医師による不適切な過剰処方によるものが医原性MOHです。

・本件のリリースについて
【頭痛診療にもDXの波】薬物乱用頭痛のエビデンスデータの可視化と疾患予測モデルの開発に成功|ブログ|JAST 日本システム技術株式会社

・糸魚川総合病院 勝木先生との共同研究の詳細について
共同研究 – 糸魚川総合病院 – JAST Lab