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子供を中心に増加、直近5年のインフルエンザ患者動向調査

当社(日本システム技術株式会社 以下、JAST)では、独自に保有している匿名化済の診療報酬明細書(以下、レセプト)データを中心とした医療関連データを基に、調査を行っています。

今回のレポートでは、インフルエンザ(Influenza)をテーマに調査を実施しました。

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる呼吸器感染症で、日本では毎年冬季に流行が見られています。風邪と比べ症状が重く、重症化すると合併症を起こすリスクもあると言われています。予防にはワクチン接種や手洗い、うがい、マスク着用などの対策が重要です。
参考:国立感染症研究所感染症情報センター「インフルエンザとは」

なお、インフルエンザの流行は年によって大きく変動することがあります。特に近年では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、インフルエンザの患者数推移が大きく変化しています。このような状況下でのインフルエンザの動向と特徴を知り、適切な予防と治療を行う必要があります。

そこで、本レポートでは2018年度から2022年度までの5年間におけるインフルエンザの患者数の推移と特徴について、当社のメディカルビッグデータを用いて分析しました。

【集計条件】
調査対象:JASTの保有するレセプトデータ(約890万人 2023年12月時点)
対象期間:2018年4月~2023年3月診療
ICD-10:
「J10 その他のインフルエンザウイルスが分離されたインフルエンザ」
「J11 インフルエンザ,インフルエンザウイルスが分離されないもの」

< 目次 >
1.直近5年間のインフルエンザ患者数推移
2.インフルエンザの月別平均患者数・全国平均気温の比較
3.年度別インフルエンザ患者の年齢構成推移

1.直近5年間のインフルエンザ患者数推移

はじめにインフルエンザの患者数の推移を調査しました。以下のグラフは2018年度から2022年度までの直近5年間におけるインフルエンザの年度別患者数を示しています。

グラフからわかるように、インフルエンザの患者数は2018年度に約50万人、2019年度に約35万人と減少傾向にありつつも数十万人規模で流行しておりました。一方、2020-21年度には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴う外出自粛やマスク着用などの影響により患者数が激減しており、2020年度は約3,000人、2021年度は約2,000人と、過去最低水準にまで落ち込みました。しかし、2022年度には再びインフルエンザの患者数が約19.5万人まで増加し、前年度対比97倍にまで増加しております。2023年度も感染が報告されており、引き続き感染対策が必要になるとみられます。

2.インフルエンザの月別平均患者数・全国平均気温の比較

次に、インフルエンザの月別患者数の傾向を調査しました。以下のグラフはコロナ禍前となる2018年度から2019年度までの2年間におけるインフルエンザの月別平均患者数を示しています。

インフルエンザの月別平均患者数は、12月から2月の期間に高くなる傾向が見られます。特に1月がピークとなっており、平均約22万人の患者数を記録しています。これは冬場の乾燥や寒さ、人の密集などがインフルエンザの感染を助長するためと考えられます。なお、シーズンによってピーク時期が異なるケースもありますので、冬季シーズン中は常に感染対策が必要です。

3.年度別インフルエンザ患者の年齢構成推移

さいごに年度別の年齢構成推移を調べました。以下のグラフは2018年度から2022年度におけるインフルエンザ患者の年齢構成を年度別に表したものです。なお、コロナ禍初期は例年と比べ患者数が激減しているため、分析対象から除外しております。

インフルエンザは高齢者や、呼吸器、循環器、腎臓に慢性疾患を持つ患者などが重症化しやすいと言われていますが、近年になるにつれて免疫機能が未熟な小児や未成年者の割合が増加傾向にあることが見られます。保育園や学校、住んでいる地域の流行状況を確認し、適切な感染対策を取りましょう。

※感染対策の情報はこちらをご確認ください:令和5年度 今シーズンのインフルエンザ総合対策について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

以上の分析から、インフルエンザの患者数はコロナ禍の影響で大きく変動していることがわかりました。2020-21年度はインフルエンザの流行が抑えられましたが、2022年度から再び増加しており、2023年度もインフルエンザの予防対策が必要となると考えられます。また、インフルエンザの月別患者数の傾向からは、冬場の1月に感染リスクが高いことが見られました。さいごに、年度別インフルエンザ患者の年齢構成推移からは、近年のインフルエンザにおいては小児や未成年患者の割合が増加傾向にあることが分かり、高齢者や特定の慢性疾患を持つ患者に限らず、若年層の感染対策も重要であることが示唆されました。

インフルエンザは早期発見・治療が大切です。適切な感染対策を取りつつ、発熱や咳などの症状がある場合は、すぐに医師に相談することをお勧めします。

今後とも当社のメディカルビッグデータの分析を通じて、医療の発展に貢献できるような研究レポートを発信してまいります。レポートについて、気になる点、詳しく知りたい点などがございましたら、下記お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。また、データ利用についてのお問い合わせもお待ちしております。

お問い合わせ – JAST Lab