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新型コロナ経口抗ウイルス薬3種(ゾコーバ・ラゲブリオ・パキロビッド)の処方率動向調査

当社(日本システム技術株式会社 以下、JAST)では、独自に保有している匿名化済の診療報酬明細書(以下、レセプト)データを中心とした医療関連データを基に、調査を行っています。

今回のレポートでは、日本における新型コロナウイルス感染症経口抗ウイルス薬(以下、COVID-19経口薬)の処方動向を把握するため、国内承認済みのCOVID-19経口薬3種「ゾコーバ」・「ラゲブリオ」・「パキロビッド」の処方率を調査しました。各経口薬の製造元および国内における一般流通開始日は以下の通りです。

参考:厚生労働省「承認済の新型コロナウイルス治療薬」(2023年3月31日)

上記3種経口薬のうち最後発である「ゾコーバ」一般流通開始日に合わせ、2023年4月以降のCOVID-19患者における経口薬処方率を調査し、その傾向と特徴をまとめました。

【集計条件】
調査対象:JASTの保有するレセプトデータ(約885万人 2023年11月時点)の内、2023年4月~2023年8月診療、傷病名コード「8833876:コロナウイルス感染症」「8850104:COVID-19」のデータ
※傷病名コードは社会保険診療報酬支払基金の定める傷病名マスターを参照:傷病名マスター|社会保険診療報酬支払基金 (ssk.or.jp)

< 目次 >
1.COVID-19経口薬の月別処方率推移
2.COVID-19経口薬の年代別患者割合

1.COVID-19経口薬の月別処方率推移

2023年4月から8月までのCOVID-19患者において、経口薬が処方された患者の割合を調査しました。中でもゾコーバの処方率は流通開始から4ヶ月で約6倍となっており、6月以降は経口薬3種のうちシェア率1位を維持しております。ゾコーバ処方率増加の要因としては、「ラゲブリオ」「パキロビッド」の場合は重症化リスク因子を有する患者にのみ処方が可能であるのに対し、「ゾコーバ」は重症化リスクの低い患者にも投薬が可能であることが考えられます。

※参考:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き・第10.0版」(2023年8月21日)

2.COVID-19経口薬の年代別処方患者割合

次に、COVID-19経口薬3種において、患者の年代別処方割合を算出しました。「ラゲブリオ」と「パキロビッド」と比較して、「ゾコーバ」の処方患者は0~39歳が多く、60歳以上は少ない傾向があります。この結果に関しても、重症化リスクがなくても処方が可能な「ゾコーバ」の特徴が影響している様です。また、「ゾコーバ」は「ラゲブリオ」および「パキロビッド」と異なり、12歳以上であれば処方が可能です。この点も0~19歳の割合が多い要因になっていることがうかがえます。

本レポートではレセプトデータから日本におけるCOVID-19経口薬3種「ゾコーバ」・「ラゲブリオ」・「パキロビッド」の処方率を調査しました。結果として「ゾコーバ」の処方率が4ヶ月で約6倍まで増加していることが見られ、2023年6月以降のCOVID-19経口薬シェア率も1位を維持していることが分かりました。その他、「ゾコーバ」処方患者の年齢割合としては0~39歳が多く、60歳以上が少ない傾向が窺えます。

なお、上記3種経口薬を含むCOVID-19治療薬は2023年9月末で薬剤費の全額公費負担(窓口負担なし)の運用が終了しており、10月以降の処方率が減少していると指摘されております。10月以降の処方率動向に関しては、さらなる調査が必要だと考えられます。

COVID-19経口薬は基本的に医師が必要と判断した場合にのみ処方されますが、他の薬との飲み合わせが悪い場合や、妊娠中・授乳中の女性は服用できない等の条件があります。COVID-19で受診する際は、必ず医者にご自身の服薬・妊娠状況を相談することをお勧めします。

今後とも当社のメディカルビッグデータの分析を通じて、医療の発展に貢献できるような研究レポートを発信してまいります。レポートについて、気になる点、詳しく知りたい点などがございましたら、下記お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。また、データ利用についてのお問い合わせもお待ちしております。

お問い合わせ – JAST Lab