1. HOME
  2. お知らせ
  3. レポート
  4. アニサキス症患者数から見える傾向と特徴について

お知らせ

レポート

アニサキス症患者数から見える傾向と特徴について

当社(日本システム技術株式会社 以下、JAST)では、独自に保有している匿名化済の診療報酬明細書(以下、レセプト)データを中心とした医療関連データを基に、調査を行っています。

今回は、近年増加傾向にある「アニサキス症」について調査いたしました。

アニサキス症は、アニサキス幼虫が寄生している生鮮魚介類を生で食べることで引き起こされる食中毒です。発症すると激しい腹痛や嘔吐といった症状が表れます。
このアニサキスを電気で殺虫する技術の開発も進んでいますが、普及までは一人一人が意識的に体内に入れないよう予防を行うことが大切です。

生魚という身近な食材に危険が潜んでいるアニサキス症について、より深く理解するため、レセプトデータから患者数を抽出し、その傾向と特徴についての調査結果をまとめました。

【集計条件】
調査対象:JASTの保有するレセプトデータ(約850万人 2023年7月時点)の内、2022年1月~2022年12月診療、ICD-10「B81 アニサキス症」のデータ

< 目次 >
1.アニサキス症患者数の月別推移
2.都道府県ごとのアニサキス症患者数とさば漁獲量の比較
3.1万人あたりの年代別アニサキス症患者数

1.アニサキス症患者数の月別推移

2022年にアニサキス症になった患者の数を月別に算出しました。
3月、6月、10月の患者数が他の月と比較して多くなっています。3月はさば、6月はあじ、10月はいわしの旬と重なっているため、漁獲量に比例して患者数が増えている可能性が考えられます。

2.都道府県ごとのアニサキス症患者数とさば漁獲量の比較

次に、都道府県ごとの患者数とさばの漁獲量を比較しました。
漁獲量との目立った相関は見られず、人口が多い都道府県で患者数が多いという結果になりました。
漁獲した土地ですべてのさばを消費する訳ではなく、他の都道府県にも出荷を行っています。人口の多い都道府県ではさばの消費量も増えるため、大都市における患者数が高くなっているものと考えられます。

3.1万人あたりの年代別アニサキス症患者数

次に、年代別の患者数を調査しました。
1万人当たりの患者数を10歳刻みの年代別で比較すると、20代以下は1人未満ですが、30代以上はすべての年代で2人を超える高い水準になっていることが分かります。
子どもは親の配慮もあり、危険性の高い状態の鮮魚を食べることが少ないなどの理由が考えられます。

今回はレセプトデータから患者数を抽出し、アニサキス症患者の傾向と特徴を調査しました。
月別で見た際に魚の旬との関連性が見えましたが、その一方で都道府県ごとの漁獲量には相関がありませんでした。年代別では、20代以下と30代以上で大きな差が存在することが確認できました。

アニサキス症は適切な処理、対応を行えば防ぐことのできる疾患です。特徴を知り、一人一人が注意を払うことで患者数の減少に繋がります。
現在開発中の殺虫技術も含め、今後もアニサキス症に関する動向を追っていきたいと思います。

レポートについて、気になる点、詳しく知りたい点などがございましたら、下記お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
また、データ利用についてのお問い合わせもお待ちしております。

お問い合わせ – JAST Lab