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神奈川歯科大学との共同研究成果のご報告 ~掌蹠膿疱症(PPP)と口腔乾燥症の関連性に関する新たな臨床的知見~

当社は槻木恵一教授(神奈川歯科大学 病理・組織形態学講座)と、2025年4月よりメディカルビッグデータ「REZULT」を活用した共同研究を進めています。このたび、その研究成果を第4回日本唾液ケア科学会学術集会にて発表いたしました。

■学会概要
名称   :第4回 日本唾液ケア科学会 学術集会
日時   :2025年11月23日(日)
会場   :横浜シンポジア
公式サイト:https://iidaeki.org/taikai
学術集会抄録は>>こちら

■表題
掌蹠膿疱症(PPP)と口腔乾燥症の関連性に関する新たな臨床的知見:大規模レセプトデータベース解析
※上記抄録におけるP.28

■発表者
細見祐太1、山田雄矢1,2、市原泰介1,2、槻木恵一1(1.神奈川歯科大学病理・組織形態学講座、2.日本システム技術株式会社 未来共創Lab)

■発表概要
掌蹠膿疱症(PPP)は手掌や足底に無菌性の膿疱を繰り返す難治性の皮膚疾患であり、一方、口腔乾燥症(ドライマウス)は唾液分泌の低下により著しいQOL低下を招く疾患です。両者はともに免疫系の異常が関与する慢性疾患ですが、その臨床的な相互関係や、併発が全身の健康リスクに与える影響については、これまで十分な検証がなされていませんでした。

私たちは、日本システム技術株式会社が保有する大規模レセプトデータベース「REZULT」を活用し、実臨床データに基づく網羅的な解析を行いました。その結果、以下の新たな知見が得られました。

第一に、口腔乾燥症を有する患者群は、そうでない群と比較してURTI(急性上気道炎および急性気管支炎)への罹患率および罹患頻度が統計的に有意に高いことが判明しました。この結果は、唾液減少が局所的な問題にとどまらず、全身の感染防御能の低下と関連していることを示唆しています。

第二に、PPP患者において口腔乾燥症を併発している症例では、単独の症例と比較して、生物学的製剤などの強力な全身療法薬が必要となる処方率が極めて高い傾向(オッズ比4.5)にあることが判明しました。この結果は、口腔乾燥症の有無がPPPの難治性病態を予測する臨床的な指標となり得ることを示しており、皮膚疾患の診療においても「口腔ケア」や「医科歯科連携」による包括的な管理が重要であることを、客観的データに基づいて裏付けるものです。