保険者由来のレセプトデータを受診前の患者行動可視化サービスへ提供~課題を定量的に把握し、患者中心の医療へ貢献~
日本システム技術株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:平林 卓、以下「JAST」)は、株式会社ブレインパッド(本社:東京都港区、代表取締役社長 CEO:関口 朋宏、以下「ブレインパッド」)が提供する受診前の患者行動可視化サービス「ペイシェントインサイト BI」に対し、JAST が保有する保険者由来の匿名加工レセプトデータであるメディカルビッグデータ「REZULT」(以下「REZULT」)の提供を開始したことをお知らせいたします。

■協業の背景
近年、医療現場では「受診の遅れ」や「情報格差」に起因する診断の遅延が社会課題となっています。特に希少疾患や慢性疾患領域では、早期診断・早期治療が実現しない主な要因として、医師と患者に情報格差があるために、患者が症状を自覚してから適切な診療科を受診するまで時間がかかるケースが多くなっています。そのため製薬企業にとって、疾患啓発や新薬上市(=新薬が承認され、実際に市場に出ること)において、患者の受診前の行動や心理を深く理解することは、適切な情報提供や施策設計に不可欠です。
こうした課題に対し、ブレインパッドは SNS・検索データから患者のリアルな行動や心理を可視化する独自の分析力を有していました。一方で、より正確な患者理解のためには、診断前の医療行動や既往歴といった定量的な裏付けが不可欠です。そこで、JAST のメディカルビッグデータ「REZULT」の提供を通じ、これまで捉えきれなかった医療データを補完することで、より多面的かつ実態に即した患者像の構築を目指すため、ブレインパッドが開発する新サービス「ペイシェントインサイト BI」における今回の協業が実現しました。

■協業の概要
本協業は、JAST が提供する商材開発環境 Medical Data PROVISION(MDP)を活用することで実現しました。これにより、保険者由来のレセプトデータである「REZULT」を安全かつ迅速に連携・分析できる環境が整備され、ブレインパッドが活用している SNS データ及び Web 行動データと組み合わせることで、患者の受診前行動を定量的に補完する新たな分析基盤を構築いたします。
「REZULT」は、患者の受診行動や健康診断結果を時系列で追跡可能です。これにより、特定の傷病に罹患している患者の受診前行動や症状の変化を、定量的な根拠に基づいて把握することができます。また、「REZULT」は患者の行動背景や意思決定プロセスを補完する“定性的な視点”としても活用可能です。
これらの特性を活かし、本協業では製薬企業が医師に提供する情報の価値向上を目指し、疾患や患者に対する理解の深化、潜在患者の規模把握、疾患啓発におけるデータドリブンな施策の立案及びその効果測定の精緻化に取り組みます。これにより、製薬企業における意思決定の質を高め、より的確な情報提供と患者支援が可能となることを目指します。

■今後の展望
JAST は「ペイシェントインサイト BI」へのデータ提供を通じて、疾患領域ごとの患者理解を深めるレポートの高度化や、医療機関・保険者との連携による予防・早期介入支援など、医療の質向上に資する取り組みを推進してまいります。
また、MDP を通じて、ヘルステック企業や研究機関との協業も積極的に展開し、医療データの社会的価値を最大化するエコシステムの構築を目指します。
本件のリリースの詳細については下記をご参照ください。
ir_notice20250903.pdf
・商材開発環境「Medical Data PROVISION」について
MDP – JAST Lab
・メディカルビッグデータ「REZULT」について
データ販売 – JAST Lab